将来的に海外移住ライフをしようと考えた時、皆さんが一番不安に思う事の一つが病院問題ではないでしょうか?
現地の病院は日本と比べてレベルが低いのではないか?
治療費の請求がとんでもない金額になってしまうのではないか?
日本と似たような健康保険がその国でもあるのか?
医師や看護師と日本語でコミュニケーションできるのか?
近い将来、移住を考えている私にとっては避けては通れない問題です。
公的保険制度を持っている国は少ない
海外では先進国に属する国では、日本と似たような公的保険制度があるのが普通ですが、発展途上国では公的保険制度が整備されている国はごく一部です。
東南アジア諸国(マレーシアやタイなど)では、公的保険制度自体は存在しませんが、国民が病院を格安で受診できる制度はあります。
しかし、海外からの移住者は利用できなかったり、医療レベルが低いとか、診察まで長時間待たされたりで、利用するのが現実的ではないことがほとんどです。
そのため、海外移住者の多くは、現地の何らかの民間会社の医療保険に加入しています。
海外移住者が加入できる医療保険を色々ネット上で調べてみましたが、本当に情報が乏しいですね。
民間会社の海外医療保険の一例
現地の民間会社が販売している医療保険は様々なバリエーションがありますが、一番多いパターンは次のようなものです。
【タイの邦人医療共済保険】
http://www.aia-kyosai.com/hojiniryo.html
- 入院給付
①部屋代、食費、看護費(日額)7,000 バーツ
集中治療室代(日額) 14,000 バーツ
②諸経費、治療費、薬、検査、機器 (入院毎) 50,000 バーツ
③手術費(入院毎、最高額) 90,000 バーツ
④院内主治医回診費(日額) 3,000 バーツ
⑤傷害緊急外来治療費4,000 バーツ
⑥院内専門医費 3,000 バーツ - 外来通院給付
1回・1日受診 3,500 バーツ
年間 105,000 バーツまで
残念ながら歯科治療は保険給付の対象に含まれていません。
- 高額医療保障給付(上乗せ8割給付、入院毎) 300,000 バーツ
- キャッシュレス(窓口支払い不要)対応の提携病院多数
●死亡弔慰金(ご本人のみ) 5,000 バーツ
そして、年間の保険料は 1人で30518 バーツ (107000円)、夫婦で61035 バーツ(214000円)となります。
この医療保険を高いと感じるのか、安いと考えるか、その人の収入や家族構成、考え方によって様々でしょうが
私自身は個人的にはかなり安いように感じています。
この保険の提携先の私立病院はかなりの高レベルで日本の病院と遜色がないか、それ以上の病院も含まれています。
そんな病院に受診しても、窓口負担が一切必要ないというのはすごいと思いませんか。
なお、この邦人医療共済保険は日本人向けに作られたもので、他社の医療保険と比較すると割高になっています。
英語力に自信がある人はさらに保険料が安い医療保険商品を契約することも可能です。
上に挙げた医療保険はタイのものですが、その他の東南アジア諸国でも同じような商品が販売されています。
東南アジア諸国で医療保険を販売する保険会社で有名なものは
【欧米系】シグナ社、AXA社、アリアンツ社
【日系】東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン
【地元系】Pacific Cross Health
移住を考えている人は、自分が行きたい国に上記のうち、どの会社があるのか、検索してみるとよいでしょう。
日本の公的健康保険とは違うことを理解する
日本の公的保険に慣れ親しんだ日本人がその制度から離れて、民間会社の医療保険に入ることは不安が大きいと思います。
そこで、日本の健康保険と比較して、民間会社の医療保険のメリット・デメリットをチェックしてみたいと思います。
民間会社の医療保険のメリット
①保険料が格安で済む。
保険のプランにもよりますが、例えば外来なしで重大な病気で入院が必要な時だけカバーするような医療保険であれば年間5万円程度で済むプランも存在します。
日本で1回も病院を受診しないのに、毎年50万円以上の健康保険料を取られている私のような人間には、夢のような金額です。
②ハイレベルな医療をキャッシュレスで受けられる。
東南アジアの諸国は日本よりも医療レベルが低いと思われがちですが、市立病院で立派な設備のところはむしろ日本以上の医療やサービスを提供していたりします。
日本でも大病院を受診するのは紹介状が必要だったりしてなかなか大変ですが、医療保険の提携病院なら何の苦労もなく診療を受けられるので、この点は非常に有利ではないでしょうか。
③日本語対応の病院も用意されている。
海外の病院を受診するにあたって一番不安なところは、言葉の問題ではないでしょうか。
しかし、このような医療保険に加入していれば、日本語対応の病院もきっちり用意されています。
このことを知っていれば、海外移住への不安がかなり軽減できますね。
民間会社の医療保険のデメリット
①扶養家族の保険料が安くならない。
日本の健康保険でも、家族が増えれば、保険料は多少上積みされますが、民間会社の医療保険はそのレベルではありません。
例えば奥さんも医療保険に加入するなら保険料は2人分になります。
子供の場合はやはり病気になる機会が多いので、保険料はさらに高くなります。
すべて合計すると、日本の健康保険の保険料と大して変わらなくなることすらあります。
②入院(inpatient)が保険適応範囲であることが多く、外来(outpatient)は適応がなかったり、オプションだったりする
海外の医療保険に加入した後にそのプランは外来治療はカバーしていなかったと気がつくことがあるそうです。
そんな場合は、無理やり入院してなんとか保険適用にしてもらったりということも
また、内科系の病気の外来はカバーしても歯科治療は含まないということが多いです。
東南アジアの人々は軽い病気なら薬局の薬で自分で治すことが多いため、外来をオプションにする形式が多いようです。
③慢性病、重病を持っている場合、その疾患に対しては保険適応外にされたり、保険加入・更新を断られたりすることがある
民間会社は利潤を追求しているので、お金がかかりすぎる契約者は当然契約したがりません。
ロジャームーア監督作品の「SICKO」という作品に、アメリカ医療の残酷な現場が描写されています。
医療保険のメリットデメリットをを見極める
「自分自身の健康へのスタンスが、海外移住の行動に大きく影響する」
今回海外の医療保険のことを調べてみてそのことを痛感しました。
例えば、自分自身が病気がちで常に病院に通院し続けないといけない立場であれば、 日本の健康保険制度を捨てて海外移住するのは難しいのかもしれません。
逆にすこぶる健康でビジネスを持ってどんどん収入を得ていきたい立場であれば、税金や健康保険、年金の保険料の節約も考えて海外移住していくことは合理的だと思います。
日本の健康保険制度の素晴らしさを強調して、海外移住なんてあり得ないと言っている人もいますが
個人クリニック行き放題で、薬ももらい放題という、現在の日本の保険システムが、これから先も継続することはちょっとありえないと思います。
日本の健康保険システムがもっとシビアになったとき、海外移住を考える日本人も増えてくるんじゃないでしょうか。
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