日本の国民負担率は低いから税金アップ? さらなる増税が無謀な理由 | ボーダーレスネット世界トラベラー

日本の国民負担率は低いから税金アップ? さらなる増税が無謀な理由

 

日本では2019年10月からの消費税10%増税ほぼ確実な情勢となっています。

 

財務省は「日本の国民負担率が諸外国と比べてまだまだ低いので、今後も消費税などの増税余地がある」と言っていますが……

 

 

私はその言い分には激しい疑問が湧いてきます。

 

つまりそれは欧米諸国より日本の方が生活にゆとりがあるので、まだまだ徴税できると言っているのと同じだからです。

 

しかし、その認識はとても現実的とは思えません。

 

様々な指標をみると、日本はもはや先進国とは呼べないぐらい落ちぶれているのが明らかだからです。

 

私は国民負担率というものを根拠に増税を実行するという発想自体がおかしいとしか思えません。

 

例のごとく官僚が国民を騙そうとしていると思われるため今回考察してみました。

 

実質賃金下落=インフレ税

 

まず第一に強調したいのは「日本人はどんどん落ちぶれているのに増税なんかしていいの?」ということなんです。

 

日本人が落ちぶれていることをはっきり示す指標として実質賃金があります。

 

賃金には、給与明細に書かれた文字通り見た目の賃金を表す名目賃金と物価の変動を考慮に入れた実質賃金があります。

 

近年、日本ではこの実質賃金がずっと右肩下がりで落ちているのです。

 

 

バブル経済崩壊直後の1997年を基準1100とすると、欧米諸国は120から140と賃金が上がっているのに、日本は90前後まで低下しています。

 

実質賃金の下落は私たちの購買力が低下しているのと同じです。

 

国民は生活を切り詰めない限り収入から生活を差し引いた残り可処分所得は減少します。

 

それとは逆に消費税と社会保険料は年々上昇してさらに可処分所得は減っていることになります。

 

日本が一番豊かだったバブル経済の時期をイメージして、日本国民の負担率が欧米より低いからまだまだ増税の余地はあると考えるのは、おかしいのです。

 

この実質賃金減少はアベノミクスによる金融緩和の副作用ではないかという説があります。

 

それが正しいとすると、日本国民は気が付かないうちに、日本政府からインフレ税という税金を課されているという可能性もあるのです。

 

日本政府の国民還元率は恐ろしく低い

 

本来税金とは、国民が幸せに暮らせるように国が集めているものです。ですから、国民負担率は税金総額のうちどれだけの割合が国民のために使われたか、つまり「国民還元率」もセットにして考えないと意味がないと考えます。

 

改めて国民還元率の国際比較のデータを確認すると、日本政府がいかにケチで国民の税金をどれだけピンはねしているかがハッキリわかります。

 

 

 

日本の税金保険料の国民還元の特徴は、高齢者に手厚いということです。

 

高齢者は少額の保険料で高額な年金を受け取っていますが、これは投票率の高い高齢者に対して政治家が媚びる「シルバー民主主義」の弊害がもろに出ています。

 

そして、そのしわ寄せの結果が、先進国とは思えないほど低水準な若年層・子供たちへの給付です。

 

子育てや教育にはさっぱり、お金を出さないくせに、少子化の状態を国民のせいだと言って責め立てる日本の政治家の態度には、ただただ呆れるばかりです。

 

社会的弱者へのセーフティーネットをケチる国

 

日本政府は、年金制度において少ない掛け金しか払っていない現在の高齢者に法外な年金を払っており、この部分だけは大盤振る舞いをしています。

 

しかし、そのしわ寄せをもろに受けているのは、これから高齢者になる国民です。

 

年金だけでは死ぬまでは生きていけないので、すべての国民に貯蓄2000万円以上はをしろと政府が強制する。こんな先進国は日本だけでしょう。

 

しかし、税金を使って国民の生活を援助する部分になると、露骨なほどお金をケチって放置しているという状況に近いと言えます。

 

 

人間の生活において、もっともお金がかかるものは住居です。

低所得者層が住む場所に困らないように制度をつくるのは、本来の政府の義務のはずです。

 

しかし、日本の公的な住宅は国際比較のおいても貧弱で軽視されています。

 

そのせいで、高齢者や低所得者層が、賃貸住宅を追い出されて行き場を失うパターンが社会問題化しているのです。

 

生活に困窮して生活保護を求めて役所に行ってもそう簡単に給付はもらえません。生活保護を申請する人間を色眼鏡で見て極力敵対するチームを作るような役所が存在します。

 

財務省の国民負担率の数字のトリック

 

財務省が持ち出す国民負担率のデータにはある種のトリックが潜んでいます。

 

財務省の資料では国民負担率のを対国民所得比のデータだけ取り上げ、OECD 国際比較的一般的なGDP比のデータは意図的に無視しているのです。

 

国民所得比のデータは、GDP比のデータに比べて、消費税が高い欧州諸国の国民負担率が高めに出てくる傾向があります。

 

日本人は海外に比べてまだまだ負担する税金が低いという方向に持っていきたい財務省からすれば、当然都合のよいデータを採用するわけです。

 

またご存じのように日本はGDP比240%を超える世界一の財政赤字を抱える国です。

 

一国の財政赤字は最終的にはその国の国民が税金で負担するものと考えるのが常識です。

これを潜在的国民負担率と呼びます。

 

この数字は、国民が負担する義務がすでに生じていると考えて、現時点の国民負担率に追加して考えるべきものなのです。

 

そして、この潜在的国民負担率を追加した日本の数字は既に欧州諸国の負担率にかなり近いレベルまで迫っています。

 

日本国民に税金を追加する余地はほとんど残っていないと考えるのが妥当ではないでしょうか。

 

 

 

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