現在、日本で貯蓄ゼロ世帯の増加が年々ひどくなっているのはご存知でしょうか?
私自身もすぐには信じられない内容だったのですが、もはや日本人の貧困化がここまできたか、というのが実感です。
月々の収入から生活固定費を引いて、残りの可処分所得から貯蓄を積み上げていく。
それが、日本の中流家庭のごく普通のスタイルだと思われてきました。
しかし、もはやわずかの貯蓄すらする余裕もなく、自転車操業状態の家庭が多数派になってきているのではないか、という恐ろしいデータです。
日本政府は様々な統計データを使って好景気をアピールしてますが、現実の国民生活者には全く反映されていないことが証明されています。
海外からはいまだに日本人は貯金好きでお金持ちというイメージが持たれていますが、もはやそれは虚像だと認識した方が良さそうです。
貯蓄ゼロ世帯の衝撃の統計結果
日本銀行の金融広報中央委員会は国民の貯蓄状況について、「家計の金融行動に関する世論調査」を毎年行っています。
下記は2018年11月発表の調査結果の一つです。
20歳代=61%、30代=40.4%、40代=45.9%、50代=43%、60代=37.3%
この数字が何を示すかわかりますか?
これは年代ごとの「貯蓄ゼロの世帯」の割合になります。
ちょっと信じがたい数字ですが、日本政府に忖度する立場の日本銀行が調査した数字なので、信用していいでしょう。
20代世帯の61%というのは凄い数値ですが、私がそれ以上に驚いたのが、50代60代のゼロ貯蓄世帯の割合です。
この年齢に至ってまともな貯蓄がゼロだとすると、退職後の老後の収入は年金だけということになります。
年金制度なんて支給開始年齢の引上げ及び支給金額カット間違いなしですから、これだけに依存するのはどう見ても自殺行為です
貯蓄ゼロ=貯金ゼロではないが…
この調査での「貯蓄」の定義ですが、
金融資産の定義について、「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分する」としております。
そのため、生活資金とは別に貯蓄するという明確な意思をもって開設した定期預金口座とか投資信託、保険商品などを貯蓄として定義しています。
そのため、「貯蓄ゼロ世帯」がそのまま「貯金ゼロ世帯」というわけではないのですが
生活資金用の口座とは別に貯蓄口座が必要なほどの貯金は持っていない世帯ということが推定できます。
さらに、この調査は毎年同様の手法で行われていて、貯蓄ゼロ世帯が年々増加している事実は間違いないのです。
国際比較で日本人の落ちぶれ方を確認
日本人は国際的に見て金持ちであると見られていますが、その幻想は貯蓄率の国際比較のデータを見れば、完全に崩壊します。
(家計貯蓄)=(家計可処分所得) – (家計消費支出)
スウェーデンは社会保障システムが手厚く、貯金する人は少ないと聞いていたので、家計貯蓄がこれだけ高いのはちょっと意外な気がします。
家計貯蓄は銀行預金だけでなく。株や投資信託、保険も含まれるので、スウェーデン人はそちらにお金を回しているのかもしれません。
それに対して、日本は先進国の中では社会保障制度が非常に貧しい国なので、自分自身で貯蓄をして老後に備えないといけない国になります。
実際に個人金融資産の内訳の国際比較を見ると、他の先進国は株や投資信託保険商品が多いのに比べて、日本は預貯金の割合が50%超と圧倒的に多いのです。
つまり、貯金好きの国民性自体は変わっていないのに、貯金するお金がないからできない、という悲しい状況にあるのが今の日本ということになります。
よくあるイメージの「日本人がお金に余裕があるから貯金している」という見方は間違いで、なけなしのお金を雀の涙の金利の銀行口座に入れているのが現実なのです。
30代・40代「貯金ゼロ」が23%
その他、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が行った、貯蓄調査があります。
この調査は30代・40代限定なのですが、これもひどい結果です。
現時点で、どの程度の貯蓄ができているか?という質問において、「0万円(貯蓄ができていない)」が23.1%、「1万円~50万円以下」(24.6%)、100万円以下の合計は60.5%となり、貯蓄額が100万円以下という人が多数派であることを示す結果となりました。
いかがでしょう?
30・40代と言えば、人生で一番充実した働き盛りの世代です。
この人たちの6割が、貯金100万円以下とは……。
老後の資金どころか、仕事を解雇になったら即生活に困窮してしまう人々が今の日本にはあふれているのです。
先ほどの日銀の調査内容と合わせると、日本人の落ちぶれっぷりが現実のものとして迫って来るのではないでしょうか?
貯金は嘘をつけない
現在日本政府は、いざなぎ景気を超える長期間の好景気が続いていると主張しています。
日本国民が好景気を全く実感できないと言う声にも、それは個人の実感の問題であると切り捨てています。
しかし、貯金の統計だけは偽ることは難しいようです。
20代から40代までの働き盛りの勤労層は月々の給与から貯金を積み上げることは難しくなっている。
60代以上の高齢者は自分の貯金を切り崩して生活を維持している。
という世帯が普通になってきている、という実体が証明されたことになります。
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