長年続く日本のデフレの原因の犯人は誰でしょうか?
日本政府?
日本国民?
日本企業?
メディアでは様々な犯人当てゲームが展開されています。
テレビ番組などを見ていると、最近は価格の安いものを求めすぎる国民のせいにしたがる内容が増えているのが気になります。
私にはデフレマインドというワード自体が、政府がデフレの責任を国民に押し付けたい下心そのものに見えてなりません。
さらに付け加えると、「デフレこそ悪だ」「デフレを解消すれば日本の経済問題は解決する」というキャンペーンじみた言説はおかしいし、非常に危険に感じます。
国民の生活などどうでもいいから、とにかくインフレを起こせばいい、などという狂った流れにつながりかねないからです。
そもそもデフレマインドとは?
安倍首相や日銀の黒田総裁は、「国民の根強いデフレマインド」という言葉を繰り返し使用して、物価上昇率2%が達成できない原因としています。
このデフレマインドとは証券用語のひとつになります。
野村證券のホームページによると
「デフレ時代に染みついた企業や消費者の心理や行動様式のこと。今後も経済状況があまりよくないであろうと悲観的になる心理状態のこと。将来を不安に思い、節約や貯蓄をしてお金をあまり使わないようにしようと考えること」
とあります。
この定義から行くと、現在日本国民はそれなりの収入や貯蓄があるのに、将来不安などから消費しようとしない、ということになります。
しかし、この主張を否定する明確なデータが存在しています。
金融広報中央委員会(日銀)やSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査において、いわゆる「貯蓄ゼロ世帯」が年々増えているのです。
例えば国民の二十歳代では、5世帯に3世帯が貯金ゼロというデータ、そして30歳から40歳の世帯では3割が貯蓄ゼロと認識される、というデータなどを見る限り
「国民が消費をケチって貯金ばかりしている」
などという見方は全くの的外れではないでしょうか?
単純図式のデフレ悪玉論で洗脳?
テレビ番組や新聞などマスコミで盛んに喧伝されてるのが「デフレスパイラルによって価格の下落し、その影響で私たちの賃金下落している」という言い回しです。
このデフレスパイラルの図はある意味とても分かりやすいので、経済にそこまで関心のない主婦やお年寄りまでが日常会話で話すぐらい浸透しています。
その影響のためか
「細かいことはいいからとにかく物価を上げろ。安いものばかり求める消費者がデフレを促進させる悪者だ!」
「賃金が上がらないんわ内部留保を溜め込む企業のせいだ。内部留保に課税できる法律を作れ!」
などと、ちょっと前のジンバブエまがいの無茶苦茶なレベルの低い主張が出てきています。
私の意見では、1990年代からのIT・情報革命に乗り遅れた日本企業が海外企業との戦いに敗れて、凋落していったのが、デフレの一番の原因だと思います。
実際1990年代初頭のバブル崩壊直前は、世界時価総額ランキングにおいて日本企業が大部分を占領していたのですが、現在はというとはトヨタ自動車が40位前後に残っている以外は圏外に消えています。
バブル崩壊直前に日本は一時的ではありますが、たしかに世界の頂点を極めていた時代がありました。
そのときには東京23区の土地全体の土地価格だけでアメリカ全土を買い占めることができたそうです。
そしてその国が一気に落ちぶれていった反動により、世界一のデフレ国家が誕生したと考えれば、この失われた20年は何の矛盾もなく説明できるのです。
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